社会福祉法人サンフラワークラブ(三重県津市)

地域企業と連携し、利用者の新たな可能性を追求する

サンフラワークラブの概要

サンフラワークラブは、サンフラワーガーデン(就労継続支援B型事業・生活介護事業)、サンフラワーワークス(就労移行支援事業・就労継続支援B型事業)、サンフラワードリーム(特定相談支援事業)、SFG48(共同生活支援事業)等の障がい者支援事業を運営する社会福祉法人である。

基本方針として「可能性への挑戦」を掲げ、①明るく・楽しく・元気な施設をめざす、②生活の質の向上を考える、③在宅の方たちにも、通える・生活する場所を提供する、という3つの考え方を軸にして、障がいのある人たちの「働く・暮らす」をさまざまな側面からサポートしている。

作業科目としては、印刷(名刺・封筒・冊子)、施設外就労(旅館の客室清掃、企業・病院の庭の草刈り)、畑作業、黒にんにく販売、手ぐみ紐を使ったオリジナルアクセサリーの製造等となっている。年に1回地域の人たちとの交流の場としてガーデン祭りを開催したり、津市役所で毎月開催される「津マルシェ」に参加するなど、地域連携を重視した事業展開も特色の一つだ。こうした考えから、次々と新たな作業科目が生まれてきた。

  • サンフラワーワークス 外観
  • 津マルシェ出店風景

施設外就労に力を入れ、月額平均工賃も大幅にアップ

サンフラワークラブの就労継続支援B型事業(サンフラワーガーデン・サンフラワーワークス)の月額平均工賃は、約45,000円である(令和2年度実績)。これまでにさまざまな作業にチャレンジし、ここ数年はもっとも利益率が高い施設外就労に注力するようになってきた。県立病院や企業の庭の草刈り・剪定作業などを中心に請け負っている。

とくに2019年から受注した旅館の清掃業務が、平均工賃を大幅に引き上げた。近隣にある老舗温泉旅館・清少納言からの依頼で、全客室の清掃(布団片付け&セット、浴衣・シーツ・タオル回収、茶器の洗浄、客室・トイレ清掃)を、利用者たちが職員とともに交代で出かけて行って毎日(365日)実施しているのである。倉田裕理事長は、仕事が始まった経緯を次のように説明する。

「この旅館がある榊原温泉というのは、昔、清少納言が日本三大名湯の1つと称えた由緒ある名湯です。その『清少納言』の名を冠した旅館ですから、温泉街を代表する老舗旅館といえます。しかし最近は人手不足に悩んでいたらしく、施設外就労の新たな仕事を探していた私たちと思惑がマッチしました」

そうはいっても、1日も休みなくスタッフを派遣するのは施設としても相当の覚悟が必要だったに違いない。土日・祝日はもちろん、盆休みも年末年始もない。むしろ旅館業というのは、世間が休んでいる日が繁忙期となる職種なのだ。普通なら、仕事の負荷が増えると職員からは反対意見も出てくるところだろう。これに対する倉田理事長の考えは、実にシンプルだった。

「私は2017年から日本セルプセンターの理事をさせていただいていますが、高い工賃を実現している施設はいろんなアイデアで新しい仕事を開拓しています。やはり人と同じことをしていては、駄目だと思うのです。稼ぐためには、人のやらない仕事をやれと日頃から職員たちを激励してきましたから、反対意見はなかったです。そもそも仕事の話をもってきたのは、異動で新しく就労の担当になった職員でした。私がずっと話してきた成果が現れたので、うれしかったですね」

  • 利用者さんによる草刈り風景
  • 利用者さんによる、旅館・清少納言の室内清掃風景

健康食品としてブームの黒にんにく販売もスタート

もう一つ、サンフラワークラブには注目すべき自主商品がある。「三重県産やさしい黒にんにく」である。黒にんにくとは、2000年頃から話題になってきた健康食品だ。生のにんにくを熟成発酵させることによって、フルーティで食べやすく、食後もにんにく臭が気にならないのにポリフェノールが生にんにくの10倍含まれている。見た目からは想像もできないほど食べやすいのだから、病みつきになる人が多いのもうなづける。

「黒にんにくの発祥は、じつは三重県だと言われています。伊勢志摩の海女さんたちが、海で冷えてしまった身体を温めるために焚き火にあたっていた時、火の中に(栄養剤として常備していた)にんにくを落としてしまった。でもそれを食べてみたら、想像以上に美味しくて元気になるという噂が広まったと言われているそうです。そんな黒にんにくを独自の製法で初めて製品化したのが、株式会社きたむらの北村社長。この会社が伊勢市にあるため、共同受注窓口みえが中心となってにんにく栽培を県内の障がい者施設に広めていきました。私たちが栽培したにんにくをきたむらさんに納めるのがメインですが、加工した黒にんにくを卸してもらい、製品としても販売しています」

そんな経緯だから、サンフラワークラブの黒にんにくの品質はトップレベルというわけである。にもかかわらず、120グラム入り(にんにく約8個)1,200円(税込)というリーズナブルな値段だ。黒にんにくファンなら間違いなく飛びつく商品であり、リピーターも増えているらしい。

  • 利用者さんによる、ニンニク栽培の収穫風景
  • にんにく入りのオイルや黒にんにくアラレなどの新商品開発

「見た目が真っ黒なので、知らない人は敬遠しがちですが、ホントに食べやすいんですよ。試食してもらうと、みんな驚いて購入してくれますね。ぜひ全国の皆さんにも、一度試してみてほしいと思います」と、石原立巳支援員。最近は企業とタイアップしたにんにく入りのオイルや黒にんにくアラレなどの新商品開発も進み、にんにく関連売上は着実に上昇中だ。にんにく畑の作付面積も倍に増やし、利用者たちの働く場も拡大しているとのことだ。

全国ブランドの企業との連携を図りたい

このように積極的な事業展開によって、次々に月額平均工賃を向上させてきたサンフラワークラブ。最後に今後の目標について、倉田理事長に伺ってみた。

「地域資源や企業との共存というのが、私たちの目標の一つです。黒にんにくに続いて、伊賀の組紐技術を職人から習得して作り上げている『手組み紐アクセサリー』も、そんな考えから生まれた自主製品なんです。cotsukuriというサンフラワークラブ独自のブランドを立ち上げて、売り出しを図っています」

全国的にも有名な著名企業が多いのも、三重県の特色だという。庭の草刈り作業を定期的に任されている顧客の中には、ベビースターラーメンで有名なおやつカンパニーがあるし、あずきバーの井村屋の元社長・井村正勝さんは三重県社会福祉協議会の会長を務めている。こんな全国ブランドの企業と何らかの形でタイアップを図れば、自分たちの商品はもっと幅広い人たちに売り出せるはずだと、倉田理事長は力強く語る。

法人の基本方針である「可能性への挑戦」に向けて、サンフラワークラブでは今後も職員たちがさまざまなアイデアを持ち寄り、新たな仕事づくりに向かっていくことだろう。

  • 利用者による、手組み紐風景
  • 伊賀の組紐技術を習得して作られた「手組み紐アクセサリー」

(写真提供:社会福祉法人サンフラワークラブ、文:戸原一男/Kプランニング

*この記事にある事業所名、役職・氏名等の内容は、公開当時()のものです。予めご了承ください。